【本日のポイント】
① Tener que 不定詞
② Deber 不定詞
③ Hay que 不定詞
※不定詞とは、動詞の原形のこと
それでは、ひとつずつ使い方を確認していきましょう。
① 必要性の伴う義務表現|Tener que 不定詞
英語のmust, have to に相当するのが、"Tener que 不定詞"です。意味は「〜しなければならない」です。必要性の伴う義務を表します。
Tengo que trabajar hoy.
(私は)今日は働かないといけない。
Tienes que pedirle perdón.
(君は)彼に謝らないといけないよ。
Tienen que esforzarse más.
(彼らは)もっと努力しないとね。
動詞tenerは主語によって活用させます。日常的に頻繁に使われる基本動詞ですが、不規則活用なので不安な方は確認しておきましょう。覚えるのが苦手な方は、直説法現在、点過去、線過去あたりから覚えてみてはいかがでしょうか?
セットで覚えよう!否定形 No tener que 不定詞
"Tener que 不定詞"の否定形である"No tener que 不定詞"もセットで覚えておきたい表現です。否定の場合には文脈や言い方によって「〜する必要はない」または禁止「〜してはいけない」の意味があります。とりあえず前者の意味を覚えていれば日常生活で困りません。「〜する必要はない」は線過去でもよく用いられます。
No tienes que decirle lo innecesario.
(君は)余計なことを言わなくていいんだよ。
No tenía que ir al trabajo hoy porque es domingo.
(私は)今日は仕事に行く必要なかったんだ。だって日曜だもん。
② 強めの義務表現|Deber 不定詞
英語のshould, ought to に相当するのが、"Deber 不定詞"です。意味は「〜すべきだ」で、モラル的に〜すべきだという強い義務のニュアンスを持っています。
Primero, debes terminar de limpiar tu habitación.
(君は)まず、部屋のそうじを終わらせるべきだ。
Debe ser amable con otros.
(彼は)他の人に優しくすべきだ。
Deben darme las gracias.
(彼らは)私にお礼を言うべきだよ。
日本語訳を読んでも感じるかと思いますが、"Deber 不定詞"は強い義務表現のため、ダイレクトに義務のニュアンスが相手に伝わってしまいます。言われる側を不愉快な気持ちにしてしまう恐れがあるので、使う相手と場面に注意してください。
ちょっと柔らかく伝えるには?|Debería 不定詞
では、少し柔らかいニュアンスで「〜しなければならない」を表現できないんでしょうか?はい、できます。動詞deberを直説法過去未来形にするだけで、義務のニュアンスをオブラートに包んで少し遠回しな言い方にすることができます。
日本語でも「〜すべきだ」と断定的に言うよりも「〜すべきなんじゃないかぁ」「〜すべきなんだけどなぁ」「〜した方がいいんじゃないかなぁ」と言った方が柔らかく聞こえますよね。その感覚に近いですね。
このように直説法過去未来にはダイレクトな表現を柔らかい響きする婉曲効果があります。婉曲とは、遠回しという意味です。細かいことかもしれませんが、表現の幅を広げられるとても重要なポイントです。日常会話ではむしろ"Deber 不定詞"より"Debería 不定詞"が多く使われる傾向があるので知っておいて損はない文法知識です。
念のため動詞deberの直説法過去未来の活用を載せておきます。活用の規則はそんなに複雑ではないので簡単に覚えられるかと思います。
動詞「deber」直説法過去未来先ほどの例文を直説法過去未来を用いて、婉曲的に表現してみましょう。
yo - debería
tú - deberías
él, ella, usted - debería
nosotros - deberíamos
vosotros - deberíais
ellos, ellas, ustedes - deberían
Primero, deberías terminar de limpiar tu habitación.
(君は)まず、部屋のそうじを終わらせるべきなんじゃないかなぁ。
Debería ser amable con otros.
(彼は)他の人に優しくした方がいいよね。
Deberían darme las gracias a mí.
(彼らは)私にお礼を言うべきなんだけどなぁ。
セットで覚えよう!否定形 No deber不定詞
"Deber 不定詞"の否定形である"No deber 不定詞"もセットで覚えておきましょう。意味は「〜してはいけない、〜すべきではない」です。もともと強い義務を表すのが動詞deberなので、否定形では強めに禁止のニュアンスが含まれています。
No debes fumar tanto.
(君は)そんなにタバコを吸ってはいけない。
No deben hablar así con su profesor.
(彼らは)先生にそんな口をきくべきではない。
婉曲的に表現すると、以下のようになります。遠回しのニュアンスが伝わるでしょうか?
No deberías fumar tanto.
(君は)そんなにタバコを吸っちゃいけないんじゃないかな。
No deberían hablar así con su profesor.
(彼らは)先生にそんな口きかない方がいいんじゃないかな。
③ 主語いらずの義務表現|Hay que 不定詞
"Hay que 不定詞"は「〜しなければならない」という意味です。冒頭でご紹介した"Tener que 不定詞"と同じ意味ですが、文法の性質上こちらの表現では主語を明示する必要がありません。話し手がその義務を負うのか、あるいは聞き手がその義務を負うのか明らかではないため、基本的に一般的な義務を示すときに使います。「一般的に、常識的に、普通に考えて〜しなければならない」というニュアンスですね。
Hay que lavarse las manos antes de comer.
(一般的に)食べる前に手を洗わないといけない。
Hay que cruzar la calle cuando el semáforo esté en verde.
(常識的に)信号が青になってから道を渡らなければならない。
いずれの例文から「一般的に、常識的に、普通に考えて〜しなければならない」というニュアンスが含められているのがわかるかと思います。
でも、実はネイティブは気軽に使ってる
"Hay que 不定詞"は基本的に一般的な義務を示すときに使い「一般的に、常識的に、普通に考えて〜しなければならない」というニュアンスを含んでいるということは今お伝えしました。とはいうものの、実はネイティブは"Tener que 不定詞"のように気軽に使っています。僕もアルゼンチンに来るまで文法書で勉強していたので、"Hay que 不定詞"は一般的な義務を表すから、あまり使えない表現なのかなと思っていました。
しかし、"Hay que 不定詞"では、主語を考えずにすみ、Hayの原形である動詞haberも必ず三人称単数で活用され、ただ不定詞をはめ込むだけという言語的な使いやすさから、"Tener que 不定詞"の代わりに使われることも多いです。その場合、主語が明確ではないので、誰が〜しなければならないのかを会話の流れで判断する必要があります。文法書にはこう書いてるけど、実際ネイティブはこういう使い方をするんだというのがわかっていただけたでしょうか?
Hay que comprar jabón.
石鹸を買わなくちゃ。
→石鹸を買うことは一般的常識ではないが、話し手にはその必要性があると推測できる。
Mañana hay que limpiar la casa.
明日家のそうじをしないといけない。
→普通に考えて、そうじするに越したことはないが、明日家をそうじするかしないかは個人の選択であり、話し手はその必要性を感じていると推測できる。
Hay que pedirme perdón.
私に謝らなきゃ。
→「私に」と言っているので、謝る行為をするのは私以外の誰かとなります。こういう場合、文脈から「誰が」を読みとる必要があります。しかし、そんなに神経質にならなくても会話の流れでわかるの心配しなくて大丈夫ですよ。
いずれも"Tener que 不定詞"で置き換え可能で、"Hay que 不定詞"で表現しても会話においてたいした差はありません。
本日の重要ポイントはここ!
以上、3つの義務表現を完全マスター|Tener que, Deber, Hay queをご紹介しました。いろいろな表現をあげてきましたが、まずはTener que, Deber, Hay queの3つを必ずおさえておきましょう。
- "Tener que 不定詞"「〜しなければならない」は必要性を伴う義務。
- "Deber 不定詞"「〜すべきだ」は強い義務。
- "Hay que 不定詞"「〜しなければならない」は一般的常識の義務。
そして余裕があれば、補足知識として以下の情報を加えていきましょう。
- "No tener que 不定詞"は「〜する必要がない、〜してはいけない」
- 動詞deberを直説法過去未来形で使えば、「〜すべきなんじゃないかなぁ」「〜すべきなんだけどなぁ」「〜した方がいいんじゃないかなぁ」と婉曲的に表現できる。
- "No deber 不定詞"「〜してはいけない、〜すべきではない」は禁止のニュアンスを含む。
- "Hay que 不定詞"は基本的に一般的な義務を示すが、実は"Tener que 不定詞"のように気軽に使うことができる。
ESTO ES TODO POR HOY.
GRACIAS POR LEER HASTA EL ÚLTIMO.